文・龍騎のしっぽ
今回、ゲームの中でひびきに憑依している初代片桐が生きていた頃の話を書いてみました。
何故わざわざ過去の話を作ろうと思ったのかといいますと、痛々しいシーンを痛々しく描く必要があったからです。
前回、夏コミ版で書かせて頂いた『疫病神』シリーズでは、登場人物の人間関係を変に引っ掻き回さないために、その辺りの描写を躊躇していた点がありました。
今回の話では、登場するのは全てのキャラの先祖ということなので、かなり思い切って書くことが出来ました。
しかし、現時点では初代片桐のみならず、他のキャラの先祖の名前も全く不明な状態でした。
そこで実験的な試みではありましたが、キャラの名を全て、敢えて伏せた状態で話を進めてみました(越前屋は例外ですが)。
キャラの雰囲気や取り巻きの設定等から、誰が誰の先祖なのかが分かってもらえたのでしたら、まずは成功ということになるでしょう。
目標として、ゲームに登場する全てのキャラの先祖を書こうとは思っていたのですが、難しい点も幾つかありました。
最初にぶつかった壁は、藤野兄妹、敷杜姉妹、そして腹違いの姉妹、ひびき&かな、といった、血を分けたキャラ達の先祖の設定でした。
血を分けている以上、このキャラ達の先祖は同じ人間ということになります。
まずは、消化出来る設定から一つずつ解決していくことにしました。
最初に設定が決まったのは、ひびき&かな。
父は二人とも同じ、片桐謙重郎である。
この時点で、かなは片桐家の血を受け継いでいるということになり、初代片桐はひびきの先祖であると同時に、かなの先祖でもあるということになります。
しかし物語の中では、初代片桐は飽くまでひびきの先祖という形で描写しようと考えていました。
かなの先祖を別に描くとしたら、母方の家系図を辿っていくのが良いということになりました。
この時、『裏片桐流』は片桐家の血をひく者が、親戚同士での交わりを繰り返して現代に至っているという脳内設定が出来上がりました。
同時に、彼女達の父、謙重郎も初代片桐の子孫ということから、彼のイメージを初代片桐に投影して、現在と同じ、腹違いの姉妹と父親の構図が出来上がりました。
次に決まったのが敷杜姉妹です。
痛々しい描写をしたかったと先にも書きましたが、最初の方から、あやせの先祖には死んでもらう予定でした。
藤野家当主の盾となる彼女は、少なくとも当主が死ぬのより先に命を落とすことになっていたはずですから。
しかし、子供を産む前に死んでしまったのでは先祖にはなれません。
とは言うものの、藤野家を陰から守護する敷杜家では、現役を引退するまでは子供をつくること等許されなかったと思われます。
そこで、かなり無茶な設定ではありますが、魂の融合という形で二人の人間を一人にし、最終的にはその人物を敷杜姉妹の先祖にするということで落ち着きました。
非現実的に思われるかもしれませんが、ゲームの方で既に、初代片桐の霊がひびきに憑依したりしているので、許容範囲ではないかと思います。
ちなみに、まどかの先祖の二重人格的なイメージは、普段は平和なおとぼけ娘だが実戦では恐ろしいという現在のイメージを投影しているからです。
藤野兄妹の先祖に関しては、思い切って兄妹という縁を断ち切ってしまうことで解決させました。
兄妹で交わることにより子孫を残し・・・、といった少し危ない設定も考えたのですが、話の流れが不自然になりそうでしたので、変更を決定しました。
それでも、幼い頃からの許嫁、本当の兄妹の様に育った、といった形で、現在でのイメージを重ねてみたつもりではいます。
少し話しがずれますが、物語の最後の方で、まなの先祖の病気が治ったかの様に描かれていますが、決して治った訳ではありません。
覚醒した己の力、そして多量の邪気によって無理矢理病気の進行を抑えているだけなのです。
ですので、何れは黒巫女がなった様に肉体が限界を迎え、誰かが邪気を取り除いてくれなければ死んでしまいます。
しかし邪気を取り除くと、覚醒した力だけでは病気の進行を抑えることが難しくなり、やはり病気で死んでしまいます。
物語の中では描きませんでしたが、まなの先祖は子供を産んだ後、間もなく死んでしまったのだと自分では考えております。
そしてその子供を、魂が融合して一人の人間になった敷杜姉妹の先祖が守っていくことになるのです。
姉妹、兄妹の件が片付いても、まだ先祖を描く際に難しい設定が残っていました。
だーくえみ&ダークまやの先祖はどうするのか。
だーくえみに関しては、L.MEYESさんのHPにて伊勢陣虹が制作したらしいという情報を参考に致しました。
だーくえみ自身は、えみを基に創られたロボットだと考えられるため、実際に先祖はいません。
ですが、えみにそっくりな先祖がいたとして、それを基に過去にも同じ様なモノが創られていた、という設定なら不可能ではありません。
更にもう一押しして、その旧式のだーくえみの設計図が伊勢家に残っていたとしたら、という、半分予測に近い設定を追加しました。
これによって、陣虹がだーくえみ制作の際に、旧式の設計図を参考にしたかもしれないという想像が出来る様になります。
そうすれば、旧式だーくえみは、現在のだーくえみの先祖(に限りなく近いモノ)になれたと解釈出来ると思います。
ちなみに、旧式だーくえみの能力は、攻防共に現代版の三分の一程度だとイメージしております。
それでも普通の人間だったら勝ち目はないでしょうし、数がやたらと多いですから。
ダークまやは元々クローンということなので、まやの先祖と同一人物にするしかありません。
今回の話では、まやの先祖は物語の裏側で諜報活動をしていたと考えられますが、直接登場したシーンは一度もありません。
クローンの概念もない時代ですし、オリジナルまやの出番がない以上、彼女を描くことは出来ませんでした。
出番の少なさ(無さ)で言えば、『越前屋』の名しか登場しないのが、みづきの先祖です。
全キャラの先祖を描く以上、まやの先祖の様に登場はしなくても、何かしらの行動はさせてやるべきだったとは思っています。
しかし、この時代での関東〜関西の地理的な状況を考えてみると、話に関わらせること自体が難しいので、名前のみの登場となりました。
こうして、みづきの先祖は唯一の名前の登場したキャラという立場を確立したのです。
黒巫女は現在と同じく、ゆうかの先祖が闇に染まった存在として登場してもらいました。
幽霊を操る能力は、今回の話の中で重要な役割を果たすことになりました。
友人のメイドコスプレ少女の先祖も出すには出したのですが・・・、この時代にはメイド服はなかった様な気がします。
メイド服が何時頃から登場したのか、一応調べてみたのですが、意外と手掛かりは見つかりませんでした。
結局、曖昧ではありますがあの様な表現になりました。
初代片桐の視点からすれば、西洋という未知の国の衣装なので、あれで良かったと考えております。
アンジェリカに関しては、現代の彼女と同一の存在ではないかと思われます。
厄災の化身ですし、人間よりも遥かに長い時の流れの中で、同じ様な『遊び』を繰り返してきたのだと思います。
さて、大体、今回の話の謎(?)を明かしてみたのですが、まだ一つ、大きな謎が残っています。
それは、えみの先祖が腹に宿していた子供の父親は、一体誰だったのかということです。
最も身近な男性といえば初代片桐ですが、彼がえみの先祖であるというのは、設定としておかしいと思います。
弟子の男の誰かがとも考えられますが、それは唐突過ぎます。
かずまの先祖が相手だったというのもおかしいでしょう。
これはとんでもない予想ですが、えみの先祖は、共に生活していた大山猫とできてしまったのではないか。
山猫といっても、これは化け猫ですから、妖怪です。
人間と妖怪の間に子供ができるという話は多々ありますので、その可能性もなくはないでしょう。
そう考えれば、現在のえみの猫らしさは先祖からの隔世遺伝だと考えられます。
飽くまでこれは予想ですので、自分自身でも何とも言い様がないのですが。
しかし、分からないことが良い、という考えも有りかもしれません。
いい加減に思われるかもしれませんが、自分ではそれも一つの表現だと考えております。
えみの先祖の隔世遺伝ネタは、毒の餌にひっかかるシーンもそうです。
このことにより、えみの遺伝子には刺激物を口に含むことを嫌う、つまりは辛いものが嫌いという性格が記憶されているという訳です。
今回の作品タイトルでもある、後半のシーンの一行『そして二人は炎の中で・・・。』は、以前、かんなづきさんから頂いたアドバイスからイメージしたシーンです。
当時、かんなづきさんは、最終的にれいは裏ひびき(初代片桐)と対峙することになると仰っていましたので、その因縁みたいなものを描けたらと思い、あのシーンが出来上がりました。
今後の『拳聖少女』の更新の予定はなくなってしまったということですが、本当にお疲れ様でした。
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